2025/05/18 05:58

― 水と品種改良、そして寄生虫リスクの話 ―

信州スモークが仕入れる信州サーモン。
じつは「生で燻せる」品質には、理由があります。

それは、魚が育った“水”と“科学”と“手間”の結晶だから。

■【水】—— 魚が育つのは、川の“上流域”から引いた清流
信州サーモンの養殖には、
北アルプスや八ヶ岳などから湧き出る清冽な水が使われています。

しかもその水は、掛け流し式。
つまり「ため水」ではなく、常に新しい水が流れ込む設計です。

この方式のメリットは明快です。

酸素が豊富で、魚が健康に育つ

水温が安定しており、ストレスが少ない

養殖特有の「臭み」が出にくい

老廃物やフンが水中に滞留しない

…つまり、“生で食べてわかる身の締まりと爽やかさ”の原点は、ここにあります。

■【安全性】—— 淡水×人工ふ化×加熱飼料=アニサキスフリー
信州サーモンがアニサキスリスクなしとされるのは、科学的な根拠があります。

淡水で育てられている:アニサキスは海水性寄生虫。海水に触れなければリスクはない

人工ふ化の種苗を使用:天然由来のリスクを遮断

加熱処理済の飼料のみを使用:感染経路を完全遮断

加えて、長野県の検査機関による6,000件を超える検体調査で、一例のアニサキスも発見されていないという徹底ぶり。

冷燻という「非加熱製法」で仕上げる信州スモークにとって、
この安全性は絶対条件なんです。

■【品種改良】—— 交雑三倍体という、“変わった”サーモン
信州サーモンは、ニジマスとブラウントラウトの交配種。
さらに染色体操作により三倍体(=繁殖能力を持たない個体)として育てられます。

これにより、

発情による身質劣化を防止

一年を通して「脂乗り」「締まり」「色味」が安定

つまり、見た目も味もコンディションも“ずっと旬”。

冷燻で仕上げるうえで、火入れしなくても臭みがなく、脂は香りとともにとろける。

それはこの魚が、**「食味の完成度を目指して設計された養殖魚」**だから。

水を選び、魚を選び、燻し方を選んだ。
そのすべてが、“あの一切れ”に込められています。

袋を開けた瞬間、
ふわっと立ち上がるあの香りの奥には、
こうした“設計された美味しさ”が隠れています。